きらめき高校々舎前。
時は深夜、草木も眠る牛三つ時……
カラカラカラ……スタッ
一つのサッシが開き二人の男が紙束を持って校舎から出てきた。
二人が校舎から出て校庭を横切ろうとした時……
ジリリリリリリリリ！
校舎内全ての電灯に灯が入り、非常ベルが一斉に鳴り響く。
それに反応して校舎から出た男達は一気に全力疾走を始める。
校舎からは警備員が大勢出てきた。
流石は天下のきらめき高校、警備員の数も尋常じゃない。
しかも、伊集院私設軍隊での訓練を積んだ猛者達である。
その警備員の追撃を躱しながら校門（当然閉まっている）をよじ登り、飛び降りた所に止めてある自転車の籠に紙束を放り込み、路地を使って逃げようとする男達。
それを追って自動車に乗り込む警備員。
インジェクションキーを挿して回した途端
ボンッ！
車内で小爆発があり、白煙が室内を満たす。
他の車はタイヤが外されているモノあり、ギアが組み替えられていたのか後ろに急発進して後ろで待ってる車に激突するモノありと様々であるが、一台としてまっとうに動かない。
やっと一台ノタクタと動き始めたモノも他の車の破片が当たった瞬間、分解してしまう。
跳ね上がったボンネットからは「ごくろうさん」と張り紙がしてある丁寧さだ。
やっとの事で車から降りた警備員が後を追おうにも、既に自転車は影も形もない……
男達はこうして逃げ切った……
「あっはっはっはっは……」
「きらめき市」にある大通りのファミレスには、男達二人……鹿ノ瀬 響（かのせ きょう）と穂刈 純一郎（ほかり じゅんいちろう）がきらめき高から持ち出して来た紙束を眺め回して大笑いしている。
店員は余り良い顔をしていないのだが、そんな事は二人には関係ないようだ。
「クラス・出席番号不揃いだが、ほぼ全校女生徒分だぜ。写真・スリーサイズのデータだホレホレホレ」
「や……やめろよ」
純な純一郎に響がデータを見せて回っている。
が、不意に響の笑顔が凍りつく。
「……捨てっちまおう」
「響？」
「コイツは偽物だよ……良く出来てるがな……」
「まさか？ 保健室の身体検査簿ロッカーから盗み出してきたんだぜ？」
「好雄メモさ……」
「何？ 本人認識以上と云われる幻のアレか？」
「保健室データにまで入り込んでるとは……純、次の目標は決まったぜ？ 前祝いにパーッとやっか？」
二人は会計を済ませ、大通りの歩道橋に上がると、紙束を車道に向けて投げ捨てた。
「パーッ」
「くっそぉ……それそれそれ！」
３学年Ａ〜Ｈの８クラス（各５０人づつ……女生徒２５人）の１２００人の身体検査データが宙を舞っている……
それは、あたかもこれから起きる大騒動の幕開けとも云える紙吹雪であった……
ときめきメモリアル２異伝
鹿ノ瀬 響
ひびきのの社
Ｐｒｅｓｅｎｔｓ ｂｙ ｔｅａｍＣＨＩＣＫ
ａｔ ｃｉｒｃｌｅ『松茸御飯』
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